日本作物学会紀事
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栽培
北陸地域における水稲鉄コーティング湛水直播栽培の播種様式および播種後の水管理が収量に及ぼす影響
佐藤 徹東 聡志
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キーワード: 直播, 落水, , 水稲, 播種様式, 収量
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2013 年 82 巻 1 号 p. 34-41

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抄録

鉄コーティング湛水直播栽培の収量特性を調査するため,播種様式および播種後の水管理の影響について,過酸化カルシウムコーティング種子の条播栽培 (苗立ち密度57本/m2) を比較として検討した.鉄コーティング種子の播種様式は条播 (苗立ち密度57本/m2および30本/m2) および点播 (株間17 cmおよび24 cm) とし,播種後の水管理は湛水区と落水区とした.播種様式が収量に及ぼす影響は,鉄コーティング直播栽培は過酸化カルシウムコーティング直播栽培に比べやや減収する傾向がみられたが,鉄コーティング直播栽培の点播 (株間17 cm) 区は鉄コーティング直播栽培の中で最も収量が多く,過酸化カルシウムコーティング直播栽培との有意差は認められなかった.その要因として,点播栽培は条播栽培に比べ,受光態勢が改善され,出穂後の乾物生産が旺盛となったため,収量が増加したと考えられた.収量に対する播種後の水管理の影響は落水区が有意に湛水区に比べ多かった.その要因として落水区の押し倒し抵抗値が大きくなり,倒伏指数が小さくなったため倒伏程度が小さく推移し,その結果,登熟度 (登熟歩合×千粒重) が高くなり収量が増加したと考えられた.以上より,鉄コーティング直播栽培の播種様式は点播 (株間17 cm)とし,播種後の水管理は落水で管理することにより倒伏が軽減され,収量が高まると考えられた.

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© 2013 日本作物学会
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