日本作物学会紀事
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栽培
出穂期前後の窒素追肥時期や尿素葉面散布がパン用コムギ品種「ミナミノカオリ」の生地物性に及ぼす影響
岩渕 哲也松江 勇次松中 仁
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2013 年 82 巻 2 号 p. 135-140

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抄録

本研究では,北部九州におけるパン用コムギ品種「ミナミノカオリ」において,追肥労力の低減を前提とした,製パン適性を向上させるための窒素追肥技術を確立するために,出穂期前後の窒素追肥時期や尿素の葉面散布が生地物性に及ぼす影響を検討した.窒素追肥時期の試験では,止葉期区は出穂後10日区と比較すると,湿グルテンが低い傾向がみられ,バロリメーターバリューが小さく,生地物性が劣った.出穂後25日区は出穂後10日区と比較して,子実タンパク質含有率や湿グルテンが低く,バロリメーターバリューが小さい傾向で,生地物性が劣る傾向がみられた.尿素の葉面散布の試験では,尿素1回区では硫安区と比較して,葉焼け程度が大きかった.尿素1回区は尿素2回区と比較して,グルテンインデックスが低い傾向で,バロリメーターバリューが小さく,生地物性が劣った.尿素1回区の方が2回区より生地物性が劣った理由は,1回区の方が尿素濃度が濃く,グルテンの合成が不完全で,グルテンの質が劣る傾向があることが考えられた.

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© 2013 日本作物学会
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