2013 年 82 巻 2 号 p. 141-149
本研究は開花期の水ストレスがポットおよび圃場栽培した無限伸育型品種(Clark,Williams 79)と有限伸育型品種(エンレイ,農林2号)の収量および収量構成要素に及ぼす影響について比較検討した.開花期において灌水を制限することで葉の水ポテンシャルを−1.1から−1.5 MPaの範囲にまで低下させた水ストレスを受けた場合,有限伸育型では莢数,種子数の減少が著しく,一莢内粒数と百粒重も減少する傾向がみられた.一方,無限伸育型についても有限伸育型と同様に,莢数,種子数は減少する傾向がみられたが,減少程度が軽微であり,加えて一莢内粒数あるいは百粒重を維持する傾向がみられた.その結果,水ストレスによる減収程度は,有限伸育型よりも無限伸育型で軽微となる傾向がみられた.また,異常高温年であった1999年においては灌水停止直前の開花期から再給水後しばらく経過した着莢期にかけての水ストレスを受けた区のCGRとNARは有限伸育型よりも無限伸育型でより高く維持される傾向がみられ,このようなNARの維持能力は減収程度と関係していた.さらに,水ストレス解除後,8月の日照時間が多いほど,無限伸育型では収量の補償作用がより発揮される可能性が示唆された.