北海道品種ハルユタカは,山口で秋播き栽培すると九州品種ダイチノミノリに比べて一粒重が軽くなる.着生小花や穂の小穂位置による違いを明らかにすることで,一粒重の品種間差がどのように生じたかを調査した.さらに,これら品種の雑種第1代の穂に着生した雑種第2代 (F2) 粒の一粒重を調査するとともに,山口で秋播き栽培した場合と北海道で春播き栽培した場合とで比較することで,F2の一粒重に遺伝的分離がみられるか否かを検討した.山口で秋播き栽培したところ,一粒重は4年次ともハルユタカがダイチノミノリより軽かった.ハルユタカは,第1小花から第3小花までのいずれもダイチノミノリより軽く,第3小花が第1・2小花よりも著しく軽かった.北海道で春播き栽培すると,ハルユタカもダイチノミノリも第3小花が第1・2小花よりも軽かった.一方,ダイチノミノリは,山口で秋播き栽培すると第3小花がハルユタカほど軽くなかった.ダイチノミノリとハルユタカの雑種第1代に着生したF2の一粒重は,ハルユタカよりも重く,ダイチノミノリとほぼ同じとなった.これらの標準偏差は,第1・2小花ではF2でダイチノミノリ,ハルユタカと同様に小さく,粒重の遺伝的分離はみられなかった.F2の一粒重における標準偏差は,第3小花では第1・2小花よりも大きく,さらにダイチノミノリ,ハルユタカのものよりも大きい傾向がみられた.