日本作物学会紀事
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品種・遺伝資源
アズキ極晩生遺伝資源の開花着莢障害耐冷性評価法の開発
青山 聡島田 尚典
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2014 年 83 巻 4 号 p. 326-332

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抄録

北海道におけるアズキの安定生産には耐冷性品種の育成が不可欠であるが,短日 (感光) 性が高い極晩生の遺伝資源は開花の制御を必要とするため,開花期前後の耐冷性の評価が困難であった.そこで本報では,開花着莢障害耐冷性の評価法を開発した.まず始めに,従来開花期前後の冷温による減収程度で評価された低温抵抗性が最も強いとされている「斑小粒系—1」と最も弱いとされている「寿小豆」,および97点の遺伝資源を供試した.第2本葉期より暗期を11時間から1週間毎に1時間ずつ長くする短日処理を行い,花房確認後自然日長下に移し,開花を揃えた.その後,開花期以降7日間の冷温遮光処理 (3時から4時に最低で10℃,13時から14時に最高で15℃のほぼ正弦曲線となる連続変温,50%遮光) を行い,処理終了6~10日後に開花した花の開花数と着莢数を調査した.「斑小粒系—1」の冷温遮光処理区での開花数と着莢率を“中”,「寿小豆」を“弱”の標準として対比させて開花着莢障害耐冷性を評価し,供試品種の中で最も強かった「Acc2265」を含む4点を“強”,22点を“やや強”と評価した.次に,7日および10日間の冷温遮光処理の比較を行ったところ,「Acc2265」はいずれの処理においても「斑小粒系—1」を上回り,7日間処理よりも10日間処理の方が開花数率と着莢率の品種間差が明瞭であった.以上のことから,多くの材料を扱える評価選抜法として,10日間処理の終了5~9日後での開花数で一次選抜し,さらに処理終了10~13日後に開花した花の着莢数で二次選抜する方法を提案する.

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© 2014 日本作物学会
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