抄録
現在,飼料用サトウキビは年2回収穫での栽培が推奨されている.本報ではより収穫頻度の高い年3回収穫での栽培の可能性について検討した.試験は飼料用サトウキビ品種KRFo93-1を用いて,2年間行った.処理区として,現行の年2回収穫区(1番草,2番草)と年3回収穫区(1番草,2番草,3番草)を設けた.年2回収穫区では1番草が8月,2番草が3~4月,年3回収穫区では1番草が7月,2番草が9~10月,3番草が3~4月となるように収穫時期を設定した.なお,年2回収穫区および年3回収穫区ともに年間の生育日数は同じである.年2回収穫区の1年目,2年目の年間乾物収量は3.38,5.69 kg m-2,年3回収穫区の1年目,2年目の年間乾物収量は1.90,3.12 kg m-2であった.両年ともに年2回収穫区と比較して年3回収穫区では年間乾物収量が低下し,処理により1%水準で有意差が認められた.年3回収穫の3番草は生育期間が低温期にあたるため,乾物増加速度が小さかった.同時に株出しの生育が開始する,2年目の年2回収穫区および年3回収穫区の1番草の仮茎長を比較すると,年3回収穫区では年2回収穫区よりも有意に低く推移した.このように,年3回収穫区では株出しでの初期生育が劣ることが示された.以上のように,年3回収穫では年2回収穫のような高い収量水準を維持できないことから,収穫頻度としては現行の年2回収穫が適していると判断された.