日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
作物生理・細胞工学
ジャスモン酸メチル濃度が水稲の開花時刻と受精に及ぼす影響
小林 和広小林 陽介
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 84 巻 1 号 p. 56-63

詳細
抄録
開花直前に水稲の穂に散布するジャスモン酸メチル (MeJA) の濃度を低下させることによって,開花盛期の時刻を早めながら,それに付随する不受精を回避できないかどうかを明らかにすることをこの実験の目的とした.主稈のみ栽培した4品種のイネを供試し,出穂2,3日後に0.04,0.4,4 mmol L-1の3段階の濃度のMeJA溶液を穂に散布した.穂を10分間隔で撮影することによって開花始めおよび開花盛期の時刻を調査した.処理当日における開花数,不受精率,柱頭上の受粉数を調査した.分散分析の結果, MeJA処理から開花盛期までの時間に対して,「ハナエチゼン」,「タカナリ」,「朝日」 の3品種において,5%の有意水準でMeJA処理の効果が認められた.MeJA処理の効果が最も顕著に現れた 「ハナエチゼン」 では,4 mmol L-1区では散布後26分で開花盛期に到達したのに対し,対照区ではそれより開花盛期までに194分遅くなった.0.4 mmol L-1区でも対照区よりも開花盛期が98分早まった.0.04 mmol L-1区については,「ハナエチゼン」 には有意差が認められなかったが,「朝日」 については対照区よりも26分,開花盛期が早まった.1時間以上,開花までの時間を短縮できた場合はいずれの場合でも受精がかなり不安定となった.以上の結果から,MeJAの濃度を低下させても,開花までの時間を短縮できた場合は受精が不安定となり,不受精を回避できたとは認められなかった.
著者関連情報
© 2015 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top