日本作物学会紀事
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収量予測・情報処理・環境
混植条件下における蒸発散量と乾物生産量の関係
―とくに窒素固定作用との関連から―
菅田 慎平角 明夫岩下 瑞希
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2015 年 84 巻 2 号 p. 201-208

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抄録

窒素(N)固定植物は非固定植物より水利用効率(WUE)が低く,同量の乾物を生産するのに非固定植物より多くの水を消費している.この現象が混植条件下でも検出できるかについて検討した.N 固定を行わないトウモロコシとヒマワリの混植ポットからの積算蒸発散量(∑ET)は,単植条件下で認められた各作物の WUE と混植条件下でのそれぞれの作物の全乾物重(W)を用いて算出した積算蒸散量(∑T,=W/WUE)と地面からの積算蒸発量(∑E0)の合計量に一致した.一方,トウモロコシと根粒着生ササゲの混植ポットからの実測∑ET は,トウモロコシの WUE と5 gNO3-N pot-1を施用することで作出した根粒非着生ササゲで得られたWUEを用いて上述と同様の手順で算出した∑ETよりも大きく,また両者の差とN固定量の間には有意な正の相関関係が認められた.これらの結果は,根粒非着生植物の WUE が推定できれば,∑ETとWの測定を介した共生的窒素固定量の推定法は混植条件下にも適用できることを示している.

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© 2015 日本作物学会
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