抄録
窒素(N)固定量を評価するために,0 gN pot-1 施肥条件で育てたササゲ(0Nササゲ)とトウモロコシ(0Nトウモロコシ)の N 吸収量を比較した.同時に,根粒が着生した 0Nササゲ の水利用効率(WUE)と5 gN pot-1を施肥することで作出した根粒非着生ササゲ(5Nササゲ)の WUE を比較した.生育初期から全乾物重の増加を停止した0Nトウモロコシに対して,固定Nの供給を受けた0Nササゲでは全乾物重の増加が継続した.WUE は生長が強く阻害された5Nササゲのほうで全生育期間を通して高く,また5NササゲのWUEが実験期間内においてほぼ一定値で推移する傾向を示したのに対して,0Nササゲの WUE は 0Nササゲと0Nトウモロコシの間のN吸収量の差が大きくなるにつれて低下した.これらの結果は,N 固定がなかった WUE が予測できれば,それと N 固定ササゲの WUE とを比較することで N 固定量評価が可能であることを示唆している.