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日本作物学会紀事
Vol. 85 (2016) No. 3 p. 231-240

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http://doi.org/10.1626/jcs.85.231

総 説

米の食味は,品種,環境,栽培技術が相互に作用しながら,水稲の生育および収量形成過程に影響した後,適正な収穫および乾燥・調製が行われ,決定される.そのなかでも,極良食味米は,品種が遺伝的に備えている米の食味官能特性や理化学的特性などの食味ポテンシャルが生産者の栽培管理技術により最大限発揮された生産物であると考えられる.本総説では,美味しい米を作るための栽培技術要素に関するこれまでの知見を整理するとともに,さらなる美味しい米作りに向けた栽培学的アプローチの方向性について検討した.美味しい米を作るためには,健全な根を発達させるための土をつくり,活着が良好となる健苗の育成や高温登熟を緩和できる適期に適切な栽植密度で移植を行い,低タンパクな玄米を生産する低次位・低節位分げつを確保した後,深水管理や中干しにより速やかに過剰な分げつを抑制する.また,幼穂形成期の栄養診断に基づく穂肥施用で籾数を適正に制御し,出穂期以降は良好な登熟に向けて高温対策と根の機能維持のための水管理(掛け流し,間断灌漑)を行い,適期収穫した後は,低めの温度設定で素早く乾燥調製することが重要であるとまとめられた.そして,さらなる美味しい米作りに向けた今後の栽培学的アプローチとしては,良食味米産地の中でも極上の米を生産する地域や篤農家圃場の地理的,気候風土的な条件と食味ポテンシャルを発揮させる個々の技術要素が水稲の生育や収量形成過程,食味関連特性に及ぼす影響を解析することが重要である.


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