日本作物学会紀事
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栽培
ダイズの耕うん同時畝立て狭畦栽培における適正栽植密度
―密植適応性が異なる新潟県ダイズ奨励品種の比較―
藤田 与一川上 修黒田 智久服部 誠樋口 泰浩南雲 芳文高橋 能彦
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2017 年 86 巻 2 号 p. 119-128

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抄録

密植適応性が異なる新潟県ダイズ奨励品種「エンレイ」および「あやこがね」を用いて,重粘土質水田転換畑におけるダイズ耕うん同時畝立て狭畦栽培の適正な栽植密度を検討した.ダイズ群落内の相対光合成有効放射 (相対PAR) 量は,両品種ともに狭畦栽培では密植になるほど低くなるが,開花期頃にはいずれの栽植密度でも10%以下となり十分な雑草抑制効果が得られた.成熟期の生育は両品種とも密植になるほど徒長気味の生育となり,倒伏程度は「エンレイ」では栽植密度17.8株m–2以上で,慣行栽培 (条間75 cm,栽植密度8.9株m–2) より大きくなった.「あやこがね」は狭畦栽培と慣行栽培とで倒伏程度に差がなかった.収量は両品種とも密植になるほど増加する傾向となり,「エンレイ」では栽植密度17.8株m–2以上で,「あやこがね」では栽植密度13.3株m–2以上で,慣行栽培より有意に増加した.本研究結果において,狭畦栽培の場合「エンレイ」では倒伏軽減の観点から栽植密度8.9~13.3株m–2,「あやこがね」では増収効果の観点から13.3~26.7株m–2が適正栽植密度と判定された.

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© 2017 日本作物学会
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