日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
ゴマ品種「まるひめ」の種子成分に及ぼす播種期および収穫期の影響
大潟 直樹加藤 晶子
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2017 年 86 巻 3 号 p. 276-281

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抄録

早生でリグナン含量が多いゴマ品種「まるひめ」を用い,農研機構(つくば市)の試験圃場において2014年と2015年の2カ年試験した.7月播種は6月播種に比べて開花までの日数が短かったが,登熟期間は長くなった.「まるひめ」の収穫適期は,採種量および千粒重が最大となる播種後日数85日から95日と判断した.7月播種は6月播種よりオレイン酸含有率が低く,リノール酸含有率が高かった. 6月播種における登熟期間の平均気温は7月播種より約3℃高く,オレイン酸含有 率とリノール酸含有率との間には負の相関関係がみられたため,登熟気温が高いとオレイン酸によるリノール酸への不飽和化が抑制されると考えられた.セサミン含量は6月播種の方が7月播種より高いため,「まるひめ」には6月播種が適すると考えられた.収穫期を遅くするに従いセサミンおよびセサモリン含量は減少する傾向を示し,セサミン含量は最大で78%まで減少した.主茎および分枝を部位別とした蒴果の脂肪酸組成の違いは明らかではなかった.一方,セサミン含量は先端部で多 く,下位節で少なく,従来品種と同様の傾向を示した.

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© 2017 日本作物学会
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