2017 年 86 巻 4 号 p. 329-338
寒冷地である青森県の気象条件下で,省力・低コスト化手段の一つである疎植栽培が水稲の子実収量ならびに玄米品質に及ぼす影響を評価した.青森県黒石市で3水準の栽植密度 (標準栽植株数=21.2株 m–2に対して2水準の疎植条件=15.2株 m–2,11.2株 m–2,以下,標準区,71%疎植区,53%疎植区) を2品種 (「つがるロマン」,「まっしぐら」),2作期 (5月中旬,5月下旬移植) の計12組合せによる試験で4か年 (2010~2013年) 行った.子実収量 (2品種,4年平均) は,2作期とも標準区に対して71%疎植区ならびに53%疎植区で有意差が認められなかった.ただし,53%疎植区と標準区の子実収量の差は2011年5月中旬区と2012年5月下旬区で大きかった.玄米品質は,2012年5月下旬区の「つがるロマン」において71%疎植区と53%疎植区で胴割粒の発生により検査等級が低下したが,それ以外では栽植密度による差はみられなかった.53%疎植区の収量には面積当たりの籾数,穂数と強い相関がみられた.標準区に対する53%疎植区の子実収量比は移植後11~50日の平均気温と有意な相関がみられた.53%疎植区と標準区の収量差には栄養成長期の気温が関係し,低温条件では面積当たり穂数と籾数の差が拡大して収量差が大きくなることが示唆された.