日本作物学会紀事
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栽培
東北地域における水稲品種の晩植適性
福嶌 陽太田 久稔横上 晴郁津田 直人
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2018 年 87 巻 1 号 p. 37-42

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抄録

わが国の水稲作においては生産者の減少に伴い経営規模が拡大すること,そして,東北地域の大規模経営においては晩植栽培の必要性が生じることが予測される.そこで,晩植栽培の収量・品質・食味,および晩植栽培に適した品種特性を明らかにしようとした.5月中旬に移植した標植栽培と比較して6月中旬に移植した晩植栽培では,出穂期が18日遅くなり,穂数および登熟歩合が減少し,千粒重はやや増加し,1穂籾数は同程度であった.その結果,精玄米重が15%低下した.一方,品質はやや向上し,食味は同程度であった.以上の結果から,東北地域における晩植栽培は,作業分散が経営的に効果的であるならば,導入可能であると判断された.供試した9品種の中では,晩植栽培において出穂期が遅い品種ほど,登熟歩合が低下し,屑米重が増加する傾向にあった.よって,晩植栽培における減収程度を少なくするためには,極早生品種を用いることが有効であると推察された.

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