2018 年 87 巻 2 号 p. 157-164
イネ斑点米カメムシはイネの重要な害虫であるが,カメムシ抵抗性を持つ実用的な普及品種はこれまで育成されていない.そのため,抵抗性品種を選抜するための,効率的な斑点米カメムシ抵抗性検定法を開発した.まず,検定に適するカメムシ放飼開始時期と放飼期間を検討した.カメムシ放飼開始時期については,抵抗性の異なる品種をポット栽培し,クモヘリカメムシ (Leptocorisa chinensis) を用いて試験を行った結果,出穂後15 日及び20 日の放飼で品種間差が明確となった.また,カメムシ放飼期間については,出穂後20 日にクモヘリカメムシ成虫5 頭を一定期間放飼した結果,放飼期間が長くなるほど斑点米発生率は増加し,4 日以上の放飼期間で品種間差が明確となった.これらの結果をもとに,検定を簡易に行うための切除茎を用いた検定法を検討した.出穂後20 日に検定個体の茎を止葉下第2 葉節より5 cmほど下の部分 (第Ⅲ節間) で水切りし,切除した茎を水に挿してガラス室内でクモヘリカメムシを7 日間放飼して,斑点米カメムシ抵抗性検定を実施した.その結果,斑点米発生率は品種により明確に異なり,品種間差を検出することができた.以上のことから,切除茎を用いた斑点米カメムシ抵抗性検定法は,検定にかかる労力を減らすことができ,育種選抜において有効な方法であると結論づけられた.