千葉県において,ラッカセイ収穫後における莢実の乾燥方法は地干し・ボッチ乾燥が一般的である.しかし近年,乾燥中の降雨による品質低下や生産者の高齢化等により,従来の地干し・ボッチ乾燥体系に代わって食味が劣らず,天候に左右されにくい省力的な莢実乾燥技術が求められている.しかし,ラッカセイ莢実の乾燥方法の違いが子実の食味に及ぼす影響は明らかになっていない.そこで良食味のラッカセイを得るために必要な莢実の乾燥条件を明らかにすることを目的として,ラッカセイ収穫後の莢実の乾燥時における茎葉部の有無並びに乾燥温度および湿度の違いが子実成分に及ぼす影響を調査した.その結果,茎葉部の有無によるショ糖含量の有意な差は確認されなかった.また乾燥時におけるショ糖含量の上昇およびデンプン含量の低下は,水分の減少に伴って徐々に緩やかとなり,子実水分が20%以下になった時点で,ショ糖含量およびデンプン含量はほぼ一定となった.このことから良食味のラッカセイを得るための莢実の乾燥方法として,収穫後子実水分が20%以下になるまでは,時間をかけて乾燥させることが重要であることがわかった.また乾燥時における,茎葉部の有無については食味への影響が少ないことが明らかとなった.