2018 年 87 巻 4 号 p. 304-311
ダイズには節の葉腋の中心に開花する中心花房と,その側部から二次的に発達してくる側状花房があり,後者の発達が大きく両花房間の開花時期のずれが大きいダイズ (以降,側状型) は,低温に遭遇するリスクを低下できる可能性が高いため障害型冷害に対する耐冷性が強いと考えられる.そこで本研究では,無限伸育型で側状型であるカナダの耐冷性品種Labradorと有限伸育型で側状型でない北海道の在来種と育成系統との2組の交配組合せの後代から有限伸育型で側状花房の発達の有無により選抜を行い,障害型耐冷性を評価した.開花始から昼18℃/夜13℃の4週間の低温処理で,側状型は莢数と子実重の耐冷性指数が有意に高かった.また,この組合せから選抜した側状型2系統の耐冷性検定現地圃場における検定結果においても,莢数と子実重の耐冷性指数は,耐冷性中品種のトヨムスメより有意に高く,耐冷性強品種のハヤヒカリと同等またはやや上回った.開花パターンの調査では,耐冷性中のトヨムスメは側状花房を持つ節が少なく,ハヤヒカリには側状花房はみられたが,側状花房の開花期間は約10日であったのに対し,側状型の上記2系統は,側状花房の開花期間がおよそ15日であり,個体当たりの開花期間がトヨムスメやハヤヒカリより長かった.これらの結果から,側状花房発達の形質の導入により北海道品種の耐冷性が向上すると考えられた.