日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
山間地域水田転換畑のチゼルプラウ耕は排水性改善によりダイズの生育・収量を向上させた
片山 勝之川崎 洋平山崎 諒亀井 雅浩
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2018 年 87 巻 4 号 p. 312-318

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抄録

排水の不良な山間地域の水田転換畑の2年3作体系において,コムギ収穫後のダイズで高位安定収量を得ることは重要である.本研究では,2016年と2017年に農家と所内の圃場で排水性を高める効果のあるチゼルプラウ耕が土壌の物理性並びにダイズの生育および収量に及ぼす影響について検討した.チゼルプラウ耕有区の深度13 cmから20 cm付近の土壌貫入抵抗値は無区と比べて小さく,下層土は柔らかかった.湿潤時ではチゼルプラウ耕有区の深度15 cmの土壌マトリックポテンシャルの値の減少は無区に比べて大きかった.前作コムギの播種前にチゼルプラウ耕を導入すると後作ダイズにも深耕の影響が残り,良好な排水性は持続していた.播種前のチゼルプラウ耕によりダイズの苗立率が高くなり,稔実莢数が多くなり,収量が増大した.これらの結果は,山間地に多くみられる排水不良圃場においてチゼルプラウ耕が排水性を改善し,苗立率向上と収量増大をもたらすことを示唆している.

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© 2018 日本作物学会
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