日本作物学会紀事
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品種・遺伝資源
サトウキビの梢頭部における挫折時モーメントの品種間差異
服部 太一朗樽本 祐助寺内 方克境垣内 岳雄早野 美智子安達 克樹伊禮 信
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2019 年 88 巻 1 号 p. 18-26

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抄録

サトウキビ育種では風折抵抗性が重要な評価項目のひとつであるが,台風の規模やサトウキビの生育状況など不確定要因が多く,より精度の高い評価手法が求められている.我々は,これまでに,最上位肥厚帯から50~60 cm下部に位置する生長帯の挫折時モーメントが,梢頭部で生じる折損に対する抵抗性の指標となり得る可能性を示唆した.本研究では,挫折時モーメントについて,春植えしたサトウキビ8品種系統の生育旺盛期における変動実態や品種間差異を調査し,育種情報としての利用可能性を検証した.8月5日と8月26日に,最上位肥厚帯から約55 cm下方の生長帯を,9月26日には同位置の生長帯とその一つ上位の生長帯を,それぞれ対象として,挫折時モーメント,断面係数および曲げ強度を調査した.その結果,いずれの特性値も,測定の時期や対象とする肥厚帯の位置によって測定値が増減することが明らかとなり,生長帯の成熟度が関与している可能性が考えられた.一方で,個々の品種系統の測定値の大小には各測定時期間で正の相関関係またはその傾向が認められ,各品種系統の相対的な強度は一貫した傾向を示すことが明らかとなった.また,断面係数と曲げ強度の測定結果から,挫折時モーメントを増大させる主要因は品種系統ごとに異なり,品種系統に固有の特性として,異なる時期においても安定して発現していることが示された.以上から,挫折時モーメントは折損抵抗性に関する有用な育種情報となり得ることが示唆された.

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© 2019 日本作物学会
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