日本作物学会紀事
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作物生理・細胞工学
イネ出穂期遺伝子hd3a変異系統を用いた個葉および群落蒸散に関する研究
岩橋 優田中 佑本間 香貴齊藤 大樹奥本 裕白岩 立彦
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2020 年 89 巻 3 号 p. 218-223

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抄録

シロイヌナズナにおいて開花を制御する遺伝子Flowering Locus TFT)が気孔の開口を促進することが明らかになっている.本研究では,FTのイネにおけるオーソログである出穂期遺伝子Hd3aの変異体GP2を用い,個葉および群落の蒸散速度を調査した.2012,2013年にポットおよび圃場試験でガス交換測定を行い2013年には熱画像カメラを用いた群落表面温度の測定を7月上旬から下旬にかけて継続的に行った.GP2は野生型銀坊主に比べ気孔コンダクタンスが低かった一方で葉の背軸側の気孔密度に有意差はなかったことから,気孔の開度が低下していると考えられた.群落表面温度は7月下旬の午後に銀坊主に対しGP2の値が高くなった.群落表面温度と微気象データを用いて銀坊主群落に対するGP2群落の蒸散速度比を算出したところ,複数の測定日に GP2において相対的に蒸散速度の低下がみられた.以上よりGP2は幼穂分化期に蒸散速度を低下させ,午後の群落蒸散速度の低下にはHd3aの発現量の日変化が関連している可能性もあった.本研究により出穂期遺伝子Hd3aは個葉および群落の蒸散速度やその日変化に影響を与えることが示された.

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