日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
収量予測・情報処理・環境
出穂期における近接リモートセンシングによるイネ高温登熟障害程度の推定
吉野 早紀豊福 恭子曽根 千晴小川 敦史
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 91 巻 3 号 p. 215-222

詳細
抄録

地球温暖化に伴い日本のイネ栽培の現場において,出穂期から登熟期にかけての高温が原因となって,高温登熟障害が問題となっている.本研究では,出穂期における収穫時の高温登熟障害程度の予測をめざし,出穂期の近接リモートセンシングによって収穫時の整粒率や未熟粒率が推定できるかを検討した.高温登熟障害耐性の程度の異なる「あきたこまち」と「ふさおとめ」の2品種をポット栽培し,出穂期から登熟期にかけて異なる温度処理を行い,出穂期の近接リモートセンシングによるデータと収穫時の整粒率や未熟粒率を比較した.その結果,出穂期の462.4 nmと469 nmの2波長の分光反射率を用いることで,重回帰分析により収穫時の整粒率との間に有意な相関が得られた.また正規化分光反射指数(Normalized Difference Spectral Index; NDSI)と整粒率との関係においても,488.8 nmと532.8 nm の分光反射率を用いて算出したNDSI488.8 nm, 532.8 nmにおいて最も強い相関が得られた.出穂期の462.4 nm,464.6 nm,730.8 nm,735.2 nm,737.4 nmの5波長の分光反射率を用いることで,重回帰分析により収穫時の未熟粒率との間に有意な相関が得られた.NDSIij と未熟粒率との関係においても,462.4 nmと495.4 nm の分光反射率を用いて算出したNDSI462.4 nm, 495.4 nmにおいて最も強い相関が得られた.これらの結果より,出穂期の近接リモートセンシングによる分光反射率のデータを分析することで,収穫時の高温登熟障害程度の予測が可能であることが明らかになった.

著者関連情報
© 2022 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top