2016年~2021年の収量データの解析によると,埼玉県内で栽培されたダイズ品種「里のほほえみ」の経済的収量は主に生物学的収量によって決定され,収穫指数の影響は極めて小さかった.そのため,現状のダイズ栽培の評価は収量構成要素への分解よりも全重計測や成長解析によって実施されるべきであると考えられた.埼玉県におけるダイズの生物学的収量の低迷は,群落の葉面積指数が不十分となっていることに起因すると考えられ,対策として播種期の早期化もしくは晩播における密植栽培の実施が有効であると考えられた.しかし,早播を導入できる面積は米麦との作業競合によって限定的であり,晩播密植栽培では供給可能な種子量が不足するという問題が考えられた.そのため,早播疎植栽培で余らせた種子量を晩播密植栽培に充てるという栽培体系が現実的であると考えられた.