沖縄県には難溶性の鉄型リンを多く含む国頭マージ(acrisols)が広く分布する.低リン耐性の強いことが知られているラッカセイの国頭マージにおける適正リン酸施肥量を把握するために,水溶性リンが主体の過リン酸石灰を用いて無施肥(P0),標準施肥(P1),半量施肥(P0.5),倍量施肥(P2)の4処理区を設けてプランター栽培試験を4年間実施した.試験開始年はP0からP2で生育量と子実重に有意な差は見られなかった.試験を継続することでP0とP0.5は生育量と子実重が有意に減少したが,P2ではP1と同程度であった.子実リン吸収量は土壌の各種リン含有率と高い対数回帰の関係にあり,子実重とも高い対数回帰の関係にあったことから,国頭マージでのラッカセイ栽培では,P1の9 g/m2程度のリン酸施肥を行う必要があると思われる.また,ラッカセイの菌根菌感染率はP0.5からP2までリン酸施肥量を増やしてリン肥沃度が高くなっても低下せず,リン肥沃度が高い場合でも菌根菌の作用が重要である可能性が示された.