京都府の重要な地域特産作物である丹波大納言アズキは実需者からの評価も高く,安定生産が求められている.そのためにも,気候や土壌水分の変動に対するアズキの環境応答に関する知見の蓄積が必要である.そこで,本研究ではアズキ品種「京都大納言」を供試して,開花前から開花後における時期別の土壌水分の制限がアズキの生育と収量に及ぼす影響について検討した.土壌水分を制限した区で光合成速度の低下が認められ,主茎長や節数が抑制された.開花期前後の土壌水分量の減少は着莢数と粒重を減少させ,減収につながった.一方,土壌水分を制限した後においても,再び土壌に水分が与えられると光合成速度が回復した.開花期前後の時期に土壌水分量が回復すると,光合成速度の回復により子実重の一定の向上につながることが示唆された.さらに,土壌が乾燥した後,湿潤状態に転換したアズキに青立ちがみられた.これは,土壌の乾燥によって莢の減少や根の発達が生じた後,湿潤条件下による光合成速度の回復などによって,ソース過剰となったことから生じたものと推察された.このように,アズキにおいても土壌水分条件に関わる減収と青立ちが発生することが明らかになった.