日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
研究・技術ノート
圃場別データセットを利用したデータ駆動型大規模水稲作における水稲品種「あきだわら」栽培法の改善
石川 哲也山口 貴広古渡 拳人吉永 悟志
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 92 巻 2 号 p. 153-160

詳細
抄録

茨城県南部で大規模稲作を展開する農業生産法人 (以下,経営体と略記) において,2019年から2021年まで栽培管理情報を網羅的に収集し,圃場立地・移植日・窒素施肥法などが多収品種「あきだわら」の乾燥ロット別実収や圃場別収量スコアに及ぼす影響を検討した.この経営体では,2年間で作付面積が急速に拡大し106.0 haに到達した.圃場の集積が進む4つのエリアを「面的集積エリア」と定義すると,その圃場面積が全作付面積に占める比率は,2019年の43.2%から2021年には89.8%まで増加し,「あきだわら」の作付も2021年には面的集積エリアに集約された.作付品種中もっとも晩生である「あきだわら」の移植開始日は,2019年から2021年にかけて14日早まった.基肥と2回の追肥に高度化成を用いた圃場数の比率は,2019年の27.3%から2021年には97.3%に達したが,窒素施肥量に占める追肥の比率は2019年の32.2%から2021年には24.7%に低下した.2019年は圃場間の窒素施肥量の違いが乾燥ロット別粗玄米収量に影響したと推察され,低収圃場での追肥施用や作付品種変更または作付とりやめにより対応した.収量コンバインの使用により得られた圃場別収量とそれらの標準偏差から算出した収量スコアが–10以下の低スコア圃場の比率は,2020年の25.8%から2021年には10.8%に減少し,面的集積の進展に伴う低スコア圃場での作付減が寄与したと推察された.一方,「あきだわら」を2年間継続して作付した圃場11筆では,低スコア圃場2筆への窒素増施提案が採用されなかった結果,収量スコアには年次間で有意な順位相関が認められ,大小関係の改善に至らなかったと判断された.

著者関連情報
© 2023 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top