高温登熟障害耐性を持つイネ新品種の育成が進められているが,新品種作成のための時間と労力が負担となっている.本研究では,高温登熟障害耐性品種として育種された品種と既存の品種間の幼苗期における高温処理に対する生育反応の差異に注目し,幼苗期における高温登熟障害耐性イネ品種の選抜方法を検討した.催芽処理後,高温区は日中35℃ 夜間30℃ ,対照区は日中25℃ 夜間20℃ の条件で,人工気象器内で14日間水耕栽培した.高温登熟障害耐性品種として育種された品種と比較して,既存の品種は対照区では成長が劣るが,高温区では生育が促進されることにより差がなくなった.その結果,高温登熟障害耐性品種として育種された品種では,高温区/対照区の値が有意に低かった.これらの結果より,幼苗期において高温条件下と常温で栽培した地上部または根の成長の違いを比較することにより,高温登熟障害耐性品種の選抜が可能になると考えられた.