日本作物学会紀事
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品質・加工
水稲品種「ひとめぼれ」の粒厚と外観品質・米飯物性との関係および登熟気温による影響
小舘 琢磨藤岡 智明仲條 眞介
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2024 年 93 巻 4 号 p. 259-267

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抄録

玄米外観品質を特徴づける「粒厚」が厚いなど特色のある米を求める消費者に対し,生産者や卸業者などの実需者は縦目ふるいで玄米粒厚選別した米を高品質米として販売してきた.東北(東部) 地域の主要な水稲品種である「ひとめぼれ」は,家庭用や業務用に多く用いられている.「ひとめぼれ」の玄米粒厚別の外観品質や米飯物性などの特徴を捉えることは,生産者と実需者にとって有益である.そこで,慣行の1.9 mmふるいで調製した「ひとめぼれ」玄米(以下,「慣行ひとめぼれ」) をさらに4段階の粒厚に選別し,粒厚と外観品質および米飯物性との関係に加え,登熟期の平均気温との関係を検討した.粒厚分布割合の低い1.9~2.0 mmの玄米は他の粒厚の玄米に比べて外観品質は低いが,「慣行ひとめぼれ」全体の外観品質への影響は小さい.また1.9~2.2 mmの玄米は粒厚が厚くなるにつれ,米飯粒全体の硬さは高くなるものの,全体のバランス度はいずれも「慣行ひとめぼれ」より高いことから,良食味と推察された.また,最も分布割合の高い2.1~2.2 mmおよび2.2 mm以上の玄米は登熟前期の高温により整粒割合が低下すること,粒厚が2.1~2.2 mmの玄米は登熟後期の高温によってアミロース含有率および米飯物性の粘りやバランス度が低下することが明らかになった.以上より,「ひとめぼれ」は慣行の1.9 mmふるい調製で高い整粒割合と良好な米飯物性が得られ良食味であるが,その中に含まれる割合が最も高い2.1~2.2 mmの玄米は登熟期の気温によって玄米外観品質および米飯物性が変動しやすく,「慣行ひとめぼれ」の食味に影響する.

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