玄米の外観品質 (以下,品質) が優れる多収品種の「にじのきらめき」と普及品種「コシヒカリ」を2移植時期×3施肥法の条件で2年間栽培し,穂内位置別にみた玄米の成長および玄米横断面の形質という点から品質を比較した.「にじのきらめき」は「コシヒカリ」より,いずれの栽培条件においても品質が優れていた.すなわち,高温登熟条件下で弱勢籾の背白粒の発生が明らかに少なく,強勢籾の心白・腹白粒の発生も少なく,さらに,枝梗切除処理による心白粒の発生,葉身切除処理による乳白粒の発生が少なかった.これらのことから,「にじのきらめき」 は,高温条件下および同化産物の供給が過不足する条件下での品質の低下が少ないことが示された.その一因として,「にじのきらめき」は,いずれの穂内位置においても玄米の成長が穏やかに進むことが推察された.一方,高温登熟条件下では,玄米の背腹比が低くなったが,玄米横断面の形質と品質との因果関係は不明であった.これらの結果と前報の結果から,「にじのきらめき」が多収かつ高品質である要因として登熟期間が長いことを挙げた.