日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
東北地域における水稲疎播苗の苗質と温度応答
松波 麻耶熊地 智也岡部 幸喜坂田 敦及川 聡子多田 周平八重樫 耕一尾形 茂佐々木 周平小野寺 博稔渡邉 洋一金澤 優紀新妻 和敏今須 宏美篠遠 善哉屋比久 貴之松波 寿典
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キーワード: 温度, 水稲, 疎播, 苗質
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2025 年 94 巻 3 号 p. 271-278

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抄録

稲作における営農面積の拡大や温暖化環境に対応した省力化技術に資するため,近年,機械化が実用可能になった疎播苗の特性とその温度応答について東北地域の主要銘柄品種を用いて調査した.試験1では岩手大学において「あきたこまち」を3月下旬から6月中旬にかけて5回に分けて播種を繰り返し,疎播(乾籾60 g 箱—1),標準(同120 g箱—1),密播(同240 g箱—1)の3条件で育苗した稚苗および中苗の苗質を調査した.疎播苗は積算地温の上昇に伴う葉齢進展や地上部および根乾物重の増加が標準や密播よりも大きかった.また,疎播苗は草丈あたりの乾物重が大きく,他の播種密度よりも高い苗充実度を示した.試験2の東北地域の主要銘柄品種における疎播苗 (同65~80 g箱—1) と慣行苗 (同120~160 g箱—1) の比較においても,疎播苗は栽培地や品種に関わらず,積算気温が400~700℃日の範囲において慣行苗よりも高い乾物重と苗充実度を示した.いずれの試験においても疎播苗は温度1℃あたりの乾物生産量が他の播種密度よりも大きく,このことが幅広い温度域における優れた乾物生産能や苗充実度に寄与していた.したがって,春の異常昇温や大規模経営体での移植作業の遅れに伴う育苗期間の延長など,育苗時の温度環境が上昇した場合でも疎播苗は優れた苗質を維持できることから,移植時期が長期となる大規模経営体や温暖化環境に適応した技術であると考えられる.

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