インゲンマメに対する微量要素の増収効果を明らかにするため,細粒質普通疑似グライ土の江別,淡色アロフェン質黒ボク土の帯広の2地点において,ホウ素と亜鉛を含む肥料の施用試験(試験1) および5段階のホウ素施用量試験 (試験2) を実施した.2地点ともに栽培前の土壌の熱水可溶性ホウ素と可溶性亜鉛は土壌診断基準値以下または下限値に近い含有率であった.試験1において無処理区に対する増収効果は, 品種と年次を平均するとFTE区 (く溶性ホウ素),アグリエース区 (く溶性ホウ素,亜鉛),水溶性区 (水溶性ホウ素,亜鉛)それぞれ12,9,14%であった.資材中の亜鉛の有無による収量の差がみられず,収穫後の土壌の微量要素含有率と収量の間には,ホウ素のみ有意な正の相関関係がみられることから,増収効果はホウ素の吸収量の増加に由来すると考えられた.江別,帯広それぞれホウ素施用量360~720 g /10 a,720 g/10 aの時,収量はピークになり,1080 g/10 a以上の施用量では減収した.無処理区に対して,最適施用量時の増収は主として節数の増加,1080 g/10 a以上の施用区における減収は,主として一節莢数の低下,さらに1440 g/10 aの施用区では一莢内粒数の低下も関与した.江別では1080 g/10 a以上,帯広では1440 g/10 aの施用区において収穫後のホウ素含有率が土壌の土壌診断基準値の上限1.3 ppmを上回った.両試験を通してホウ素360~720 g/10 a程度の施用がインゲンマメの増収に有効であり,この施用量であれば過剰障害を危惧する蓄積量ではなく,3~4年の輪作体系の中でインゲンマメに施用し続けても問題はないと考えられた.