日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
日本におけるオリーブ-デュラムコムギのAgroforestry system短期間導入が両作物の生育や土壌窒素・炭素におよぼす影響
水田 圭祐諸隈 正裕豊田 正範
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2026 年 95 巻 1 号 p. 68-75

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抄録

Agroforestry system (AF) は,樹木間で作物栽培や家畜の飼育を行う農業体系であり,耕地利用効率や土壌肥沃度の向上をはじめとした様々なメリットがあるとされているが,日本国内での導入事例は極めて少なく,研究報告もない.本研究では,香川県の特産果樹であるオリーブと利用面で親和性の高いデュラムコムギを組み合わせたAFを2.5年間導入し,AFの導入が両作物の生育や土壌窒素・炭素におよぼす影響を検証した.デュラムコムギの収量は,2021/22年作期では129~268 g m–2であった.オリーブの樹高や枝張りは,AFの導入有無に関係なく同程度で推移した.土壌の全窒素含有量や可給態窒素含有量,有機態炭素含有量は2.5年間のAF導入では土壌深度に関係なく多くならなかった.以上の結果から日本におけるAFの短期間導入では,果樹に影響を与えずに樹間で作物を収穫できることによる耕地利用効率の向上が主なメリットとなることが明らかとなった.一方で,AFを導入したオリーブ園は通常管理と園内の植生が異なるためか,2022/23年には獣害によって収穫物を得られなかったことや,2作期目以降における雑草の地上部乾物重はAFを導入した区で非導入区に比べて1.5~2倍も重くなり,2023/24年には雑草害によって収穫物を得られなかったことから,雑草対策技術の導入や獣害のリスク検討が必要であることも示された.また,土壌窒素・炭素はAFの短期間導入では高まらなかったが,2023年11月における20–40 cm深の土壌ではAFを導入した区で全窒素含有量が46%多くなる傾向があったことから,長期連用の効果についても検証していく必要があると考えられた.

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