2026 年 95 巻 1 号 p. 76-84
本研究は,岡山県で広く栽培されている日本めん用コムギ「ふくほのか」の多収・高子実タンパク質含有率を実現するため,生育後期重点施肥の効果を明らかにし,最適な施肥時期や窒素施用量について検討した.総窒素施用量を慣行施肥(基肥と分げつ肥の重点的な窒素施用)と同じとし,基肥と分げつ肥の窒素を削減して茎立期に重点的な窒素施用をする生育後期重点施肥を行うと,慣行施肥に対して最大で1割程度の増収効果が確認できた.しかし,子実タンパク質含有率は慣行施肥よりは高いものの,日本めん用コムギの基準値である9.7%以上には達しなかった.そこで,止葉抽出期に窒素を追加施用したところ,施用量が多いほど有効穂数,地上部風乾重,収穫指数が増大し,出穂期以降の1か月間は最上位展開葉のSPAD値が高水準で維持され,整粒収量が増加した.また,止葉抽出期の窒素の追加施用により,子実タンパク質含有率は基準値の9.7%以上となった.これらのことから,基肥と分げつ肥の窒素施用を控え,茎立期と止葉抽出期に窒素を重点的に施用する生育後期重点施肥を行うと,「ふくほのか」の多収と高子実タンパク質含有率を両立できると考えられた.