2026 年 95 巻 2 号 p. 177-189
ダイズ品種「津久井在来」は子実のタンパク質含量が低いことが豆腐加工上難点であり,これを高めることで加工適性が高まる.本研究では,基肥と同時に被覆肥料を施用することで「津久井在来」の子実タンパク質含量を高めることを目的として,圃場実験を行った.第1実験では窒素の溶出時期の異なる被覆肥料を用いて,タンパク質含量を最も高める被覆肥料の種類を明らかにした.試験区は40日区(LPコートS40を使用,以下同様),60日区(LPコートS60),80日区(LPコートS80)及び対照区を設けた.被覆肥料の窒素施用量はいずれも10 g m-2とした.その結果,地上部の生育や子実収量は全ての区間で差がなかった.しかし,被覆肥料を施用した全ての区で子実タンパク質含量を「エンレイ」や「タチナガハ」と同程度まで高めることができた.さらに子実のタンパク質含量が高くなっても糖含量は低下することはなかった.第2実験ではタンパク質含量を高めるのに必要な被覆肥料の窒素施用量を検討するため,対照区,3 g区,5 g区を設けて実験を行った.3 g区と5 g区で使用した被覆肥料の種類はLPコートS60である.その結果,施用する被覆肥料の窒素量が1 m2当たり3 gから5 gであればタンパク質含量を「タチナガハ」と同等まで高めることができた.以上のことから,被覆肥料の施用よってダイズ品種「津久井在来」の子実タンパク質含量を高めることは可能で,豆腐原料としての適性も向上すると考えられた.