水田転換畑圃場において,麦茶用オオムギ品種「カシマムギ」と「カシマゴール」を用いて,基肥を減らした分を茎立期追肥で施用する生育後期重点窒素施肥および穂ぞろい期窒素追肥を要因とした栽培試験を行い,収量,子実品質,および麦茶加工適性を調査した.子実タンパク質含有率と麦茶粒および粉のL*値との間には2023年産にて有意な負の関係が見られ,子実タンパク質含有率が高いほど麦茶粒と粉の褐色の着色が良いことが示された.加えて,2023年産の麦茶粉のL*値については,穀粒硬度との間にも有意な負の関係が見られ,穀粒硬度が高いほど麦茶の着色が良いことが示された.本研究では施肥による収量への有意な影響はなかった一方で,子実タンパク質含有率は穂ぞろい期の窒素追肥によって高まり,麦茶加工適性も有意に向上した.また,穂ぞろい期の窒素追肥は原料麦の特性として重要な千粒重を増大させ,麦茶用の原料麦の安定供給に寄与すると考えられた.生育後期重点窒素施肥は,子実タンパク質含有率を高めたものの麦茶加工適性に及ぼす効果は小さく,年によっては遅れ穂の発生を助長し,麦茶用オオムギの施肥法として望ましくない可能性がある.以上のことから,麦茶用として高品質の原料麦を生産するためには,穂ぞろい期に窒素追肥を行うことによって子実タンパク質を高めることが有効であると示された.