2026 年 95 巻 3 号 p. 260-272
北海道のダイズ基幹品種「ユキホマレ」,「とよみづき」,「ユキシズカ」および北海道で多収を示す無限伸育性品種「OAC-Dorado」を供試し,2023年には江別のみ,2024年は江別と帯広にて,栽植密度は16.7本 m–2のTwin row栽培 (TR) を実施し,慣行栽培 (CR) と比較した.CRに対するTRの増収効果とその品種間差異,収量関連形質と受光態勢からみた増収要因を検討した.「ユキシズカ」と「OAC-Dorado」の子実収量は,すべての栽培環境でTRがCRに比べて19~29%,8~27%有意に高かったのに対して,「とよみづき」はすべての栽培環境にて有意な増収効果がみられず,「ユキホマレ」も2024年江別は増収効果がみとめられなかった.「OAC-Dorado」と「ユキシズカ」のTRの増収効果の高さは,増収効果が低かった「ユキホマレ」と「とよみづき」に比べて,TRによる葉面積の増加を含めた受光態勢の改善効果が高く,これに伴い莢数の増加効果が大きいことに起因すると考えられた.したがって,TRの増収効果の品種間差異は,主要因として受光態勢の改善効果が関与し,増収効果を安定的に得るには受光態勢が良好に維持または改善される品種や栽培環境が必要であると考えられた.TRの増収効果の品種間差異とTRの受光日射量の増加との間にも弱い関係はみられるものの,北海道の標準栽植密度16.7本 m–2においては,主要因であるとはいえなかった.また,この受光態勢の改善効果は栽培環境にも強く左右され,このことが生産現場の栽植様式による増収効果を不安定にしていると推察された.