面積当たりおよび穂内位置別の子実の成長様式を,水稲とコムギの間で比較した.面積当たりでみると,水稲においては,開花5~20日後に穂重が大きく増加し,茎葉重が大きく減少した.コムギにおいては,開花10~30日後に穂重が大きく増加し,開花20~30日後に茎葉重が大きく減少した.穂内位置別に,開花20日後の粒重 (前期粒重),成熟期の粒重 (成熟粒重),およびその差 (後期粒重) を調査した.水稲においては,早く成長する穂内位置にある強勢粒は遅く成長する穂内位置にある弱勢粒より,前期粒重はかなり重いが,後期粒重はやや軽く,その結果,成熟粒重はやや重かった.コムギにおいては,強勢粒は弱勢粒より,前期粒重,および後期粒重の両方が重く,その結果,成熟粒重はかなり重かった.以上から,水稲においては,登熟前期の穂重の増加量が大きく,この間に強勢粒が優先的に肥大するが,登熟後期に強勢粒は籾殻により肥大が規定されるため,成熟粒重の穂内位置による変異は小さくなると推察された.これに対して,コムギにおいては,登熟後期の穂重の増加量が大きく,この間に強勢粒が弱勢粒より優先的に肥大することにより,成熟粒重の穂内位置による変異が大きくなると推察された.