日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
飼料作物および牧草の光合成に関する研究 : 第II報 牧草および麦類の光合成に及ぼす温度の影響
村田 吉男猪山 純一郎
著者情報
ジャーナル フリー

1963 年 31 巻 4 号 p. 315-322

詳細
抄録
8種の牧草および4種の麦類について, 短時間の温度変化が光合成および呼吸作用に及ぼす影響を比較した. 小型ポットに土耕した30~50日の幼植物を4万ルクスの照明, 大気中CO2濃度の下におき, 0~45℃の範囲で温度を徐々に変化した場合の光合成, 呼吸作用の変化を前報の装置により測定した. 得られた値にCO2濃度補正を加え, 温度と光合成との関係を求めた. 主な結果は次の通りである. 1) 北方型牧草および麦類の光合成は大部分10~15℃において最大値を示す. それより低温または高温では徐々に低下し, 40℃以上では急激に低下する. 他方, 呼吸作用は温度の上昇に伴つてほぼ一様に, 指数関数的に増大する. 2) これに対し南方型牧草は著しく異なる温度反応を示す. すなわち, 光合成の最適温度は約35℃で, それ以上では徐々に, それ以下では急激に低下する. また南方型は光合成の絶対値が著しく高いこと(バヒヤグラスで最高47.7mg CO2/100 cm2, hr)と, 葉面当りの同化/呼吸比が著しく大きい特長を持つ. 3) 12種の作物は温度-光合成曲線の形から4種類に分けることができる. 4) 北方型牧草を夏栽培すると, 低温側での光合成能力の低下がより著しくなるという温度適応現象が認められた.
著者関連情報
© 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top