日本作物学会紀事
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作物生葉の緑色程度ならびに葉緑素含量の測定法とその応用に関する研究 : 1. 生葉の緑色程度ならびに葉緑素含量の測定原理について
稲田 勝美
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1963 年 32 巻 2 号 p. 157-162

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抄録

作物葉の緑色程度ならびに葉緑素含量を生葉のままで簡易, 迅速に測定する方法を明らかにするために研究を行ない, 次のような結果を得た. 1. 生葉のattenuanceスペクトル (透明物質における吸収スペクトルに相当する言葉で, 非透明物質に対して用いられる) を測定したところ, 用いたすべての植物において葉緑素に基ずく極大値は670mμまたはその近くにあり, 750mμ以上では葉の色素に無関係な基線と呼ばれる一定の最低値を示すことがわかつた (図2, 3, 4, 5). 2. 同一葉におけるdifference attenuanceすなわち670mμと750mμにおけるattenuanceの差 (A 670-A 750) を求めることによつて, 単位葉面積当りの葉緑素含量を生葉のままで測定しうると考えた. また, このdifference attenuanceの値は葉の緑色程度と密接な平行関係を示すことが用いたすべての植物で認められた (表2, 図4, 5). 3. difference attenuanceを直接, 簡易に測定するために携帯用葉緑素計を試作し試験したところ, 用いたすべての植物において葉の緑色程度と示度との間に密接な平行関係がみられ (表3), また, 水稲葉で単位葉面積当りの葉緑素含量と示度との間にはきわめて高い相関々係のあることが認められた (図8).

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