抄録
1. 標準区 (慣行的な栽培法で, 窒素質肥料全量基肥・常時湛水・30×18cm植) に比べ, 密植・二条植・窒素質肥料の分施・栄養生長の後半期における田面落水などの処理を行なつた各区で, 増収が認められた. 2. 本実験の範囲内においては, 出穂以前に決定される諸形質 (単位面積当りの穂数・総頴花数・出穂期の葉面積指数・地上部乾物重など) と, 収量との間には密接な関係が認められなかつた. 3. 登熟期間のNARと葉身の窒素含有率との間には, 吸光係数の大中小によつて, 三つの曲線が画かれた. 4. 登熟期間のNAR・RGRと収量との間に高い正の相関関係が認められた. このNARおよびRGRを大きくさせるために必要な条件としては, 登熟期間における葉面積がある程度大きいこと, 葉身の窒素含有率が高いこと, 吸光係数が小さいこと, また, 下葉の枯上がりの少ないことがあげられよう.