抄録
試験管内無菌培養法により, 稲の花芽分化におよぼす低温の影響について実験し次の結果を得た. なお, 花芽分化の遅速の尺度としては主稈上の葉数を用いた. 1. 発芽時における低温 (5℃) の花芽分化阻害は, より進んだ発芽の段階においてより強く現われた. なおこの場合, 低温は1, 2, 3葉の葉身長および1, 2葉の葉鞘長を短かくしたが, それらの短縮程度と花芽分化阻害の程度との間にはあまり強い相関はみられなかつた. 2. 幼植物に与えられた低温の花芽分化阻害は, 5℃では10日以上, 10℃では20~25日以上で現われた. なお10℃処理についてみれば, 2葉抽出時の幼植物が最も低温抵抗性が強いようであつた.