日本作物学会紀事
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小麦植物の春化におよぼす肥料および光の影響
中条 博良
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1969 年 38 巻 2 号 p. 234-240

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抄録
(1) 低温処理期間中の肥料条件にもとづく小麦植物における春化効果の差異について研究した. 窒素または加里を施用しない場合には春化効果が劣り, 燐酸無施用の影響は小さく, マグネシュウム無施用によつては春化効果に差が認められなかつた. 上記肥料無施用による春化効果の減少は生育のほとんどみられない低温で処理した場合にも認められた. (2) 低温処理期間中の光の影響について研究した. 処理期間中の1日当り照明時間が短縮するとともに春化効果は次第に減少し, 暗黒条件下での春化効果は著しく劣つた. 暗黒条件下では培養液に蔗糖を加えるか, または蔗糖液を葉面散布することにより効果の減少程度が小となつた. 日変化する温度条件下では高温期間中照明すれば低温期間中の暗黒条件は春化効果の減少をもたらさなかつた. 光は同化生産物の供給を通じて春化に影響するものと考えられる.
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