日本作物学会紀事
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サツマイモの培養根における不定芽原基の分化
中島 哲夫川上 雄三
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1969 年 38 巻 3 号 p. 454-458

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抄録
サツマイモの根における不定芽分化の要因を究明をるためには, 圃場における根や塊根をとりあつかうより, 培養した根を用いる方が問題が単純化されるので, より好都合であると考えた. このような考えのもとに, 根の培養を試み, また培養根での不定芽分化の検討を行なつた. 1) 従米根の培養に用いられているような, 無機塩類, 糖, ビタミン類などを組成とする簡単な培地では, サツマイモの根の培養は困難であつた. しかし, サツマイモ塊根の抽出物を加えた培地では, 顕著な生長がみられ, 2ヵ月間培養を継続すると10 mmの根端が生長して, 750~1200 mmにもなつた. すなわち, このような培地でサツマイモの根の培養が可能であつた. 2) このようによく生長した培養根について, 側根の基部を組織学的に観察すると, まれではあるが不定芽原基の分化を認めることができた. このことは, 圃場において極めて生育初期の根でも不定芽が分化するという説を裏づけるものである. また培養根によつて, 不定芽分化の要因を検討するための手がかりが得られた.
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