日本作物学会紀事
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無菌条件でオオムギ葉から生じた多細胞性突起について
前田 英三
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1971 年 40 巻 2 号 p. 161-163

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抄録
オオムギ(品種ムサシノムギ)種子を, ショ糖と寒天をくわえたMurashige・Skoogの培地に植え, 無菌条件で培養した. 数週間後, 葉の上に突起物が生じた. このものは3×10-5M の 2,4-Dと5g/1 のイースト抽出物をくわえたとき, しばしば見られた. 長さ5mm程度のものもあり, 葉身の背軸側から下方にむけて突出しているものが多いが, 向軸側または葉縁部から生じているものもあった. この突起は, 多細胞により構成され, 根冠状組織をもたず, 鋸歯または葉舌に似た形態をしている. 子葉鞘の先端にも, よく似た形態の突起が見られた. 以上の結果にもとずき, 作物の分化制御に関する植物ホルモンの作用性の面から, Alchemila, Aloe, Begonia, Bryophyllum, Crepis, Eriospermum, Rohdea, Streptocarpus の葉上突起物についての観察と比較考察した.
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