日本作物学会紀事
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畑水稲の諸形質の安定性に関する生態的研究
第2報 異なる耕起法, 播種期および栽植密度における畑水稲の諸形質の個体変異について
番場 宏治大久保 隆弘
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1978 年 47 巻 1 号 p. 155-162

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抄録
本試験は前報に引きつづいて畑水稲を用い, 耕種的要因である耕深, 施肥, 播種期および栽植密度を変えた場合に諸形質の変動がどのように影響されるかをみたものである. あわせて乾物重と乾物重の変動程度との関係についても検討した.
得られた結果は次の通りである.
1. 稈長, 穂長, 茎数, 乾物重, 穂重およびわら重の変異係数は深耕多肥条件下でも顕著に増大することはなかった.
2. 乾物重の変異係数は登熟が良好であれば晩播ほど小さい. 早播きのそれは晩播に比し生育期間の長いことや生長量の増大に伴う競争の激化により大きい.
3. 稈長, 穂長, 茎数, 乾物重, 穂重およびわら重の変異係数に対する耕種的要因の影響は播種期および栽植密度が大きく, 耕深および施肥量では小さかった. 遺伝的要因の影響は小さい.
4. 乾物重と乾物重の変動程度とは直接的な関連は認められないが, 空間的競合があり乾物重の多い条件では変異係数も大きい.
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