日本作物学会紀事
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コムギ幼植物の光合成昼寝現象に関する研究
沢田 信一
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1978 年 47 巻 1 号 p. 18-24

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抄録
野外の環境条件下で作物その他の植物の光合成能力の測定をおこなった場合, 日中の高温, 高照度下において光合成能力の低下 (光合成昼寝現象) が認められる場合がある. この光合成昼寝現象の解析の第一段階として, 年間の各季節に栽培したコムギ幼植物について, 光合成に適した一定温度, 照度そしてCO2濃度条件下で, 早朝より夕方まで一定時間間隔で光合成能力を測定した. その結果の概要は次の通りである.
1. 一定の測定条件下においても, 夏季に生育したコムギ幼植物においては早朝より日中にかけて光合成能力の低下が認められた. 春季, 秋季そして冬季に生育したコムギにおいてはこのような光合成昼寝現象は認められなかった (Figs. 2, 3).
2. 光合成能力の測定に用いる葉以外の全葉を実験の前日に切除しておいたコムギ (Fig.1) においては光合成昼寝現象は認められなかった (Figs. 2).
3. 夏季に生育したコムギ幼植物において認められた昼寝現象における光合成能力の低下と葉の含水量の低下, 糖含量の高まりそして葉の気孔の閉鎖等の間には相関がみとめられなかった (Figs. 4).
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