イネの小胞子初期冷温処理による雄性不稔 : 第17報 冷温処理中における葯の窒素・燐酸化合物および炭水化物含量の変化

抄録

小胞初期に1～4日の冷温処理をしたイネの葯を, 頴花長により厳密に花粉の発育時期を揃え, 処理中の窒素・燐酸化合物および炭水化物含量の変化をしらべた。処理葯のたんぱく-N, 酸可溶性-N, リピッドP, RNA-P, DNA-Pおよび還元糖は, 正常葯含量とほとんど差はみられなかった。一方, わずか1～2日の冷温処理により無機-P含量は減少し, 非還元糖含量は増加していた。これらの変化は冷温処理により誘起された初期異常と考え, 冷温より不受精に至るまでの生理的過程について考察した。