日本作物学会紀事
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稲属の感光性 : 第9報 苗令・日長・累積効果の組合せ(1)
片山 忠夫
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1979 年 48 巻 2 号 p. 272-278

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抄録

稲属4種8系統を用いて自然日長区および短日処理100区を設け,80日令と85日令に達した時,11.0,11.5,12.0,12.5および13.0時間明期の短日処理を開始した. 処理期間中に種々程度の自然日長条件を挿入した. これにより苗令・日長・短日条件効果の累積の組合せ効果に関して調査を行った. 反応に従って先づ3群に分類された. 同一系統内で,ある明期にのみ感応が認められるように成る現象を進行,ある明期の時感応が認められ無く成る現象を退行と仮称した. 進行は11.0明期のみ,退行は13.0明期のみに認められた. 従って本実験の範囲内で言えば,安定した反応型は11.5~12.5明期内で得られた. 両者の発現にある程度の種特異性が見い出された. 同一系統内で進行や退行が認められる場合,既報の分類の他に群内の変動や新たな群が見られた. 苗令効果は一般に各明期の間で有意な差が確認されなかった. このような苗令・日長・累積効果の組合せ実験に対する反応は,稲属の感光性を表示する指標の一つに成り得るものと思われる.

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