日本作物学会紀事
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大豆の群落構造と収量成立過程の解析 : 第2報 草型の制御が受光態勢と収量構成要素に及ぼす影響
国分 牧衛渡辺 和之
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1981 年 50 巻 3 号 p. 311-317

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抄録
大豆個体群の葉群の上層に位置する葉身,葉柄を開花始以降の数時期にテープで支持して直立させ,子実生産に及ぼす影響を異なる栽培条件下で2ケ年間検討した. 1. 処理によって葉群の空間配置は大きく変化し,畦間では葉群の下層まで光がよく透過し,その結果密植,狭畦条件では粒数が増加して無処理区に比べ最高11%増収した. 2. 処理効果の発現にはLAIが大きく関与しており,草型処理区ではLAIの増加に対する収量増加の割合が高く,LAIが大きくなるほど無処理区との収量差は拡大した. 3. 2ヶ年の比較から処理効果の発現には日射量も関与したものと思われ,日射量の少ない年次で処理効果が大きかった. 4. 処理時期では,LAIが大きくなり葉群の相互遮へいが激しくなる開花姶から4週間の処理で効果が大きかった. この時期の処理によるCGRの増加はLAIよりもNARの増加に依存し,増加した乾物は莢への分配率を高めて着芙数を増し,一部は非同化部に蓄積された. 蓄積された同化産物は後子実に移行して一莢粒数の増加に寄与したものと推察された.
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