抄録
将来予想される大気の二酸化炭素(CO2)分圧の上昇がキャッサバの生産過程に与える影響を知る一助として本研究を行った. 自然光ファイトトロンを用いて, 1/2000アールポットに土耕した材料を, 3か月(1981年)及び2か月(1982年)間350, 700μbar CO2下で栽培し, 乾物生産を比較した. またCO2処理3O, 55日目に葉のCO2 - 光合成特性を測定した. 1981年は気温が28/21℃の場合700μbarCO2により全乾物重が350μbarCO2区の54%増加した. 1982年は33/26℃で行い, 150%の増加をみた. 地上部/地下部比は温度に拘らず高CO2により低下した. 光合成特性は3O日目では処理間の差が小さかった. 55日目では高CO2区の見かけの光合成速度の低下がみられ, 気孔コンダクタンスの低下と並行していた. しかしながら, 光合成と蒸散の比から求めた水利用率は常に高CO2区の方が高かった.