矮性 (株高58.6-85.3cm) で異なる成熟期 (81~113日) を示す印度型水稲17品種の幼胚からカルスを誘導し, 直接あるいは異なる回数継代培養を行なった後で器官再分化の様相を観察した. その結果, カルスから器官が分化されてくる様相は品種間で大きな差異が認められ, 高いものでは根器官が70~95%, 芽が54~68%, 低いものでは根器官が0~14%, 芽が0~10%の再分化率を示したのである. また, 継代培養の結果, 器官分化の百分比が二代目で著るしく低下することが認められたが, 器官分化の比率が高い品種では長期に亘る継代培養において, 器官分化の比率が20%前後を維持していたのに対し, 器官分化の比率が低い品種ではさらにその分化能力が低下したのである. この結果, 水稲カルスから器官が分化されてくる場合, 品種間の遺伝的要素が矮性, 成熟期などの形態的, 生理的特性よりも重大な関係を持つことが示唆された.